TCFD解散に伴うIFRS/S1・S2への移行TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)は2023年10月をもって解散し、2024年よりIFRS(国際会計基準:International Financial Reporting Standards)が企業の気候関連開示の進捗状況の監視を引き継ぐこととなりました。IFRSは2021年に乱立するサステナビリティ開示の基準を統一する目的でISSB(国際サステナビリティ審議会:International Sustainability Standards Board)を設置、2022年3月に草案が発表され、2022年6月に最終案( IFRS S1 および IFRS S2 )が発表されました。IFRSのS1・S2は2024年1月1日以降に始まる年次報告期間から有効であり適用の決定は各国の判断となります。日本におけるJGAAP(日本会計基準)ではIFRS/S1・S2に準拠した基準の適用を2025年4月適用開始を想定しており、財務報告書の利用者に役立つ、サステナビリティ関連(S1)、気候変動関連(S2)の情報開示を企業に要求するものとなっています。また、初年度のみ下記の救済措置が与えられる為、日本での本格的な開示は2026年4月以降と予想されます。・開示を気候関連情報に限定することができる・事後の報告を容認(年次情報を翌年度の半期情報のタイミングで報告が可能)・スコープ3開示を要求しない・既に他の測定アプローチを使用している場合には、GHGプロトコルの適用は不要・比較情報の報告は不要また、TCFDが解散し国際会計基準であるIFRS/S1・S2に移行することで今までプライム市場の企業にのみ求められてきたTCFD項目の開示がスタンダード企業、グロース企業にまで求められる可能性が出てきました。TCFDが解散したことで気候関連情報の開示を行う必要がなくなったわけではなく、むしろ開示基準が統一されたことでより一層、企業に求められる情報開示の必要性が高まりました。その為、今年度や来年度の有価証券報告書でTCFDに基づく開示を行うことでIFRS基準へ移行した際の導入が容易になるのは間違いないありません。TCFD(IFRS/S1・S2)開示の必要性今後、IFRS/S1・S2に統合されるTCFDの枠組みでの開示の必要性として下記が挙げられます。①IFRS S1・S2への統合による会計基準への対応が必要前述したとおり、TCFD解散後はTCFD項目がIFRS/S1・S2に統合されIFRSの会計基準を採用している日本企業においては開示が義務化される。また、JGAAP採用の日本企業においてもIFRSの基準に準拠したS1・S2相当の開示義務が求められる可能性が高い為、現時点でTCFD項目の枠組みでの開示などの将来的な会計基準への対応が必要となる。②Scope3算出への対応が必要上記のIFRSの開示義務に付随してScope3算出によるGHG排出量の可視化が求められている。また、IFRS/S1・S2のみならず自社のカーボンニュートラル戦略など環境面での戦略立案において自社の事業活動におけるGHG排出量の可視化が必要となる。③企業のTCFD項目の開示が進んでいる上記①、②を背景に日本企業全体におけるTCFD項目の開示の動きは進んでおり、企業の株化や時価総額の評価の指標となっている。その為、株価や時価総額などの企業価値を棄損しない為にも開示の重要性は高いと言える。TCFD(IFRS/S1・S2)開示支援我々は日本企業におけるTCFD(IFRS/S1・S2に向けた)開示の支援ソリューションを提供致します。下記はTCFD開示支援の具体的な内容です。・STEP1:開示項目の選定TCFD開示支援では初めに顧客企業様の既存の開示項目の洗い出し及び未開示項目を整理します。その後、企業様の事業内容や業界、競合他社の開示項目及び状況を考慮して優先順位付けを行います。顧客企業様の事業形態や業界によりTCFD各項目の中でも重要度は異なり、競合他社が取り組んでいる開示項目は顧客企業様におかれましても優先度を高く位置付けさせて頂きます。そのうえで開示項目単位で開示に向けたデータ収集・分析からレポーティング、最終確認などの計画を策定します。また、上記計画には最終的なアウトプットに関してもご相談させて頂き調査結果をPDF形式での提供や実際のTCFD開示文の作成、その他社内外資料への記載用の文章など幅広く対応させて頂きます。・STEP2:調査・情報収集策定した開示に向けた計画に沿って顧客企業様の社内データの収集から調査及び分析を行います。Scope3に関してもこのフェーズにてデータ収集からCO2排出量の算出までをご支援致します。・STEP3:レポート作成STEP1で決定したアウトプットに合わせて調査結果をまとめてレポートを作成致します。また、完成した内容の正当性などを最終確認します。開示支援の期間としては企業様の事業規模により変動致しますが半年~1年を想定しており、初年度に導入支援をさせて頂くことで、ある程度のTCFD開示の体制を整えることが可能な為、次年度以降は期間等は短縮されることを想定しています。また、開示支援の金額に関しましては企業様の事業活動の規模や開示スケジュールにより変動致しますので個別にお見積りさせて頂きます。その他Scope1~3の算定のみの支援など企業様に合わせて支援内容をご相談させて頂ければと思いますのでお気軽にお問い合わせください。TCFDとはTCFDとはG20の要請を受け金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するため、設立された「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」を指します。企業に対して気候変動関連リスク、及び機会に関する下記の項目について開示することを推奨しています。・ガバナンス(Governance):気候関連のリスクと機会に係る組織のガバナンスを開⽰する・戦略(Strategy):気候関連のリスク及び機会が組織のビジネス・戦略・財務計画への実際の及び潜在的な影響・リスクマネジメント(Risk Management):気候関連のリスクについて組織がどのように選別・管理・評価しているか・指標と目標(Metrics and Targets):気候関連のリスク及び機会を評価・管理する際に使用する指標と目標さらに4つの開示項目における開示が推奨されている内容は下記の通り。日本国内における開示状況国を挙げて2050年カーボンニュートラルを目指す日本においては、近年、法・制度の整備が進められTCFDなどの環境指標の開示状況が企業の事業活動のカーボンニュートラルへの取り組み及び健全性を図る指標となり投資家などのステークホルダーからも注目を集めています、。TCFDの開示の有無が企業の株化や時価総額に直接影響する時代へと変化しています。下記は日本国内における各企業のTCFD開示を項目別に調査した結果であり、グラフからもわかる通りTCFDを開示する日本企業が増加していることわかります。Scope1~3の開示TCFDの開示項目の中でも重要視されるのが企業の事業活動におけるCO2排出量を算出するScope1,2,3の開示です。2050年カーボンニュートラルを目指す日本においてはTCFD開示の為のみならず、事業活動のCO2排出量を可視化し自社のカーボンニュートラル戦略を策定するうえでも重要なポイントとなります。Scope1~3の各スコープの定義は以下の通りです。・Scope1:自社が直接排出するGHG 燃料の燃焼や、製品の製造などを通じて企業・組織が「直接排出」するGHGが対象・Scope2:自社が間接排出するGHG 他社から供給された電気・熱・蒸気を使うことで、間接的に排出されるGHGが対象・Scope3:原材料仕入れや販売後に排出されるGHG 自社の事業活動におけるサプライチェーンの上流から下流までの全てのステークホルダーによって排出されるGHGが対象上記のScope1~3の算定を精緻に行うには1年単位での期間・工数と人件費が必要となり難易度が高く感じられます。しかし、TCFD開示や自社活動でのCO2排出量の把握の重要性を鑑みて算出体制を整える企業が増加しています。