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Market Trends 2024-11-15 5 min read

2025年 カーボンクレジット市場の展望と価格予測

世界的な需要拡大に伴う価格変動のシナリオと、企業が取るべき調達戦略について解説します。

2025年 カーボンクレジット市場の展望と価格予測

1. エグゼクティブ・サマリー

2025年は、世界の気候変動対策およびカーボンクレジット市場において、過去数年間の「模索と混乱」の時期を経て、新たな「統合と品質重視」のフェーズへと移行する歴史的な転換点となりました。

ブラジル・ベレンで開催されたCOP30は「実行のCOP」として、パリ協定第6条に基づく国際炭素市場の本格稼働を決定づけ、各国に対し2035年に向けた野心的なNDC(国が決定する貢献)の策定を求めました。

2025年 市場規模
140兆円
前年比大幅増
コンプライアンス市場
98%
市場価値の大部分を占有
2034年 予測規模
16兆ドル
驚異的な成長予測

日本国内では、2025年11月から12月にかけて東京証券取引所(TSE)において「GXクレジット」の集中取引期間が設けられ、2026年度からの排出量取引制度(GX-ETS)本格稼働に向けた重要な価格シグナルが形成されつつあります。

02. イントロダクション:2025年という「分水嶺」

2025年は、以下の3つの観点から極めて重要な年です。

1

国際制度の確立

パリ協定第6条ルールの実装とCOP30での合意により、国家間および民間レベルでの炭素取引ルールが明確化。

2

市場の二極化

「質」を問わない拡大期が終了。信頼性の高いクレジットのみが生き残る選別期へ突入。

3

日本のGX実装

GXリーグ試行期間(フェーズ1)終了。法的拘束力を持つカーボンプライシング(フェーズ2)への移行準備。

03. グローバル・コンプライアンス市場の動向

世界のカーボンプライシング収入は2024年に1,000億ドルを超え、2025年にはさらに拡大しています。コンプライアンス市場は、企業の法的義務に基づく需要に支えられており、市場全体の基盤を成しています。

EU ETS:底堅い価格

2025年11月現在、EUA価格は82ユーロ/t前後で推移。欧州経済の停滞等による調整局面にあるものの、2030年に向けて149ユーロ/tまで上昇すると予測されています。

2030年 価格予測 (BNEF)
149 EUR/t

CBAMの実装

2026年からの本格適用を控え、2025年は「駆け込み寺」的な対応期間。欧州鉄鋼大手などは炭素コストの上昇を見越し、製品価格への転嫁(+30ユーロ/t)を進めています。

鉄鋼セメント電力水素

04. ボランタリー炭素市場(VCM)の構造改革

「信頼性(Integrity)」による市場分断

ICVCMの「コアカーボン原則(CCPs)」がグローバルスタンダードとなり、CCPラベルの有無で埋めがたい価格格差が生じています。

CCPラベル付き (Tier 1)

厳格な基準を満たした高品質クレジット。

平均価格$8/t 超
プレミアム+25% ~ 65%

低品質クレジット (Tier 3)

ベースライン過大評価などが疑われるもの。

価格$3.5/t 以下
状態座礁資産化リスク

05. 国際航空(CORSIA)市場の需給逼迫

供給不足の構造的要因

需要(1億〜1.6億トン)に対し、供給(約1,584万トン)はわずか10分の1程度。パリ協定第6条に基づく「相当調整」の遅れが主因です。

需給ギャップ
需要 > 供給 (10倍)

価格へのインパクト

圧倒的な需給ギャップにより価格が高騰。航空会社にとっては予期せぬコスト増となり、運賃転嫁やSAF導入加速の要因となります。

CORSIA適格先物 (2025/12限)
$21 /t

06. 日本のGX戦略と市場メカニズム

2025年はGXリーグ試行期間の総仕上げであり、本格的なカーボンプライシング導入への橋渡しの年です。 特に注目すべきは、「GXクレジット」の取引開始です。

種別推定価格 (円/t-CO2)市場動向・インサイト
再エネ電力7,000 - 8,000RE100需要で底堅い。上値はFIT証書との裁定で限定的。
省エネ6,000 - 7,000供給潤沢により価格は弱含み。
森林 (Forest)7,000 - 8,000「質」への評価が最高。ブランド化が進む。
GXクレジット未定 (初値注目)11月からの取引で価格形成。GX-ETSの前身。

07. 2025年-2030年 価格予測シナリオ

シナリオA (ベースライン)

現行政策が予定通り履行され、世界経済が緩やかに成長。

シナリオB (高野心)

COP30でNDC引き上げ、品質基準厳格化、除去系需要急増。

シナリオC (停滞)

地政学対立等で気候変動対策が停滞。

市場/商品2025年実勢2030年予測 (シナリオA)インサイト
EU ETS (EUA)~12,700円23,000円CBAM本格化と無料割当削減が上昇圧力。
VCM (CCPラベル付)~1,200円4,500 - 7,200円信頼性回復と除去系シフトで堅調。
VCM (低品質)~500円以下市場退場市場からの淘汰が進む。
J-クレジット(再エネ)6,500円9,500 - 10,500円賦課金導入を見据え緩やかに上昇。

※ 為替前提: 1ドル=145円、1ユーロ=155円

結論と提言:日本産業界へのメッセージ

「価格」から「価値」へ

単価の安さではなく、プロジェクトの信頼性やコベネフィットを重視。これが将来的な資産価値保全につながります。

GX-ETSへの早期適応

本格導入を待たず、2025年のGXクレジット取引を「予行演習」として活用し、自社の限界削減費用を見極めましょう。

長期的視座での投資

将来の炭素価格上昇を見据え、省エネ・再エネ設備への投資を前倒しで実行。将来の「炭素負債」を減らす確実な手段です。

免責事項:

本レポートに含まれる予測、見解、数値は、執筆時点(2025年11月)において入手可能な情報(市場データ、公表資料等)に基づき作成されたものであり、将来の結果を保証するものではありません。実際の市場動向や制度変更により、予測と異なる結果となる可能性があります。投資や経営判断にあたっては、自己責任において行われますようお願い申し上げます。

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